野菜の出来も虫次第。

昆虫大好き週末農家のゆるっと家庭菜園日記。

アスパラはくずの方が美味い。

祖父が元気だった15年以上前まで、我が家はアスパラ農家だった。

ビニールハウス4棟の小規模なものだったが、8年ほどのアスパラ栽培の収入だけで車を5台買えたというから、そこそこ儲かってはいたのだろう。

 

そんなことは知る由もない小学生の頃、僕はアスパラが大嫌いだった。

 

1つ目の理由は、シーズンになると毎日毎日食卓にアスパラが並ぶことだ。

今のように直売所が流行っていない時代、農協に出荷できない規格外の細いものや曲がったものは、捨てるか自宅で消費するかしかなかった。

それがほんの少しなら別にいいのだが、沢山取れる時期だとその分クズも沢山出るから、「勿体ない!」と祖母によってほぼ全部の料理にアスパラが混入されることになる。

味噌汁にまでアスパラが入っていた時には殺意が湧いた。

栽培しておいてあれなのだが、ぶっちゃけ、アスパラはお腹いっぱい食べたくなる類の味ではないと僕は思っている。

だから朝昼晩のアスパラ責めは苦痛だった。

 

2つ目の理由は、単純にアスパラ栽培がしんどかったことだ。

アスパラは朝夕の2回収穫をするのだが、ボコボコ生える時期になると祖父一人では手が回らず、早起きして学校に行く前に2時間ほど手伝い、学校から帰ってきて宿題をしたらまた2時間ほど手伝い…という生活を強いられていた。

真夏の閉め切ったアスパラハウス。

水も飲まずに黙々と作業し、時折目の前が真っ暗になったり、手足が痺れて気持ち悪くなることもあった。

そう、今考えればあれは普通に熱中症である。

収穫が終わったら、決められた量ずつ束にしてビニールで縛り、出荷用のコンテナに並べる。

毎日毎日この繰り返し。

4つ上のジャイアン姉は一度も畑に出てきたことはなかったのに、何故僕だけあんなに酷使されていたのかいまだに謎だ。

 

育てていた時には見るのも嫌になっていたアスパラ。

それなのに、ハウスを解体して自宅で手に入らなくなると、無性に食べたくなってしまうアスパラ。

 

ということで、僕は昨年12月にとうとうアスパラを植えてしまった。

地面に植えると大きくなりすぎて祖母に怒られるかもしれないので、野菜用の深いプランターを使用。

そしてせっかちなので1株1300円くらいの、1年目から収穫できるという超特大苗(1mくらいのサイズだった)を購入した。

 

あれから4ヶ月。

忘れていたのを思い出して久々に様子を見に行くと、雑草に囲まれてやや細めのアスパラが1本顔を出していた。

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 記念すべき最初の1本は、あと何回アスパラを食べられるかわからない87歳の祖母にプレゼント。

祖母はシンプルに塩茹でにして5等分し、家族全員に分けてくれた。

久々のアスパラの味は、自分の記憶にあるよりもずっと甘くて柔らかくて美味しかった。